予防歯科
子供の虫歯予防

フッ素塗布:歯を強く、
虫歯に負けない「お口のバリア」
お子様の歯を守るための最も基本的で、かつ強力な武器が「フッ素」です。歯科医院で行うプロフェッショナルなフッ素塗布は、ご家庭での歯磨き粉に含まれるフッ素とは何が違うのか、なぜ必要なのかを詳しく解説します。
フッ素が歯を守る3つの働き
フッ素には、大きく分けて3つの効果があります。
歯の質の強化(耐酸性)
乳歯や生えたての永久歯は、まだ質が柔らかく酸に溶けやすい状態です。フッ素を取り込むことで、歯の表面が酸に強い丈夫な歯になります。
再石灰化の促進
食事のたびに歯から溶け出したミネラル(カルシウムやリン)を、再び歯に戻す手助けをします。これにより、ごく初期の「「脱灰(白濁した状態)」であれば、虫歯になる前に修復することが可能です。
細菌の活動を抑える
お口の中の虫歯菌の働きを弱め、菌が酸を作るのを抑える効果があります。
歯科医院でのフッ素塗布が重要な理由
市販の子供用歯磨き粉に含まれるフッ素濃度は、多くが1,000ppm以下です。これに対し、歯科医院で使用するフッ素は「9,000ppm」という非常に高濃度なものです。
この高濃度のフッ素を定期的に塗布することで、歯の表面にフッ化カルシウムの層を作り、長期間にわたってお口の守りを固めることができます。いわば、毎日の歯磨き粉が「日々の栄養補給」だとすれば、歯科医院での塗布は「強力な予防接種」のような役割を果たします。
どのくらいの頻度で受けるべき
フッ素塗布を始めるタイミングは、下の前歯が生え始めた頃(生後半年〜1歳前後)からが理想的です。乳歯の時期だけでなく、永久歯への生え変わりが終わる中学生頃までは継続することで、一生使う歯の基礎を強くすることができます。もちろん、大人でも塗布は可能です。
効果を維持するためには定期的に受けることをお勧めしています。定期検診のタイミングで塗布することで、同時にお口のクリーニングも行えるため、より高い予防効果が期待できます。
フッ素は魔法の薬ではありませんが、正しく使えばこれほど心強い味方はありません。
お子様の成長に合わせて、最適なタイミングで取り入れていきましょう。
シーラント:奥歯の深い溝を守る「オーダーメイドの防護壁」
子供の虫歯が最も発生しやすい場所のひとつ。それは、奥歯の噛み合わせの面にある「溝」です。この溝をあらかじめ埋めることで虫歯を防ぐのが「シーラント」という処置です。
なぜ奥歯の溝は虫歯になりやすい
生えたての奥歯(特に6歳臼歯)の表面には、非常に細かくて深い溝がたくさんあります。さらに、生えたての奥歯はほかの歯よりも背丈が低く、磨きにくいため、汚れを完全に取り除くことが難しい部位です。
また、生えたての歯はまだ成熟しておらず未熟なため、食べかすが溜まって酸が出始めると、あっという間に虫歯が進行してしまいます。そこで、汚れが溜まる前にその「溝」自体を物理的に埋めてしまおう、というのがシーラントの考え方です。
痛みなし、削らない。
お子様に優しい処置
「歯を埋める」と聞くと、歯を削るのではないかと心配されるかもしれませんが、シーラントは歯を一切削りません。
歯の表面の汚れを専用の道具で綺麗に掃除します。
溝にプラスチック樹脂(レジン)を流し込みます。
専用の光を当てて固めます。
処置時間は1本あたり数分程度で、痛みも全くありません。歯科医院が苦手なお子様でも、比較的リラックスして受けていただける処置です。当院ではひとつひとつの器具を見せて説明し、レジンが固まるところを実際に体験してもらったあとに処置を行うため、楽しんでシーラントを受けるお子様もたくさんいらっしゃいます。
シーラントを行うべき
ベストなタイミング
最も効果的なのは、奥歯が生えきった直後です。
- 乳歯の奥歯が生えてくる時期
- 最初の永久歯である「6歳臼歯」が生える時期(5歳〜6歳頃)
- その後に生えてくる小臼歯や12歳臼歯(10歳〜12歳頃)
特に「6歳臼歯」は、一生使う歯の中で最も重要でありながら、最も虫歯になりやすい歯でもあります。この大切な歯をできる限り守っていくために、シーラントは非常に有効です。
定期的なチェックが不可欠です
シーラントは一生使い続けるものではなく、食事などの噛み合わせの力で欠けたり、外れたりすることがあります。もし一部が外れてしまうと、その隙間に汚れが入り込み、中で虫歯が広がってしまうリスクがあります。
そのため、シーラントをしたら終わりではなく、定期検診で「しっかりついているか」「隙間ができていないか」を確認し続けることが重要です。
溝を塞いで汚れを寄せ付けないシーラントは、お子様が将来「歯の健康」という大きな財産を手に入れるための、大切な一歩となります。
虫歯にならないために

虫歯にならない為に
気をつけるポイント
お子様の歯を守るためには、毎日の「ホームケア」と、定期的な「プロフェッショナルケア」の両立が不可欠です。
効果的な「仕上げ磨き」のポイント
「早く自分で磨けるように」と卒業を急ぐ必要はありません。小学校高学年(10~12歳頃)までは、親御さんによる仕上げ磨きを推奨しています。
寝る前の歯磨きを最優先に
就寝中は唾液の分泌が減り、菌が繁殖しやすくなります。夜の仕上げ磨きは最も重要です。1日3回の歯磨きが難しい場合でも、夜をしっかりと磨いてあげてください。
フロス(糸ようじ)の活用
子供の虫歯の多くは「歯と歯の間」から発生します。ハブラシだけでは汚れの6割程度しか落ちないと言われています。そのため、1日1回はフロスを使用しましょう。
食習慣のルール作り
「何を食べるか」以上に「どう食べるか」が重要です。
ダラダラ食べを控える
食事の時間を決め、お口の中を休ませる(再石灰化させる)時間を作りましょう。
飲み物の選択
スポーツ飲料や乳酸菌飲料には驚くほど多くの砂糖が含まれています。なかなか難しい面もあるかもしれませんが、歯のことを考えると日常の水分補給はお茶や水にするのが理想的です。
歯科医院での予防処置
それでも家庭では防ぎきれない部分が出てきてしまうことがあります。それを歯科医院の専門処置でカバーします。
高濃度フッ素塗布
歯の表面を強くし、酸に溶けにくい歯を作ります。一回で終わり!ではなく、定期的な塗布が効果的です。
シーラント
虫歯になりやすい奥歯の深い溝を、あらかじめプラスチック樹脂(レジン)で埋める処置です。削らずにできる非常に有効な予防法です。早期発見・早期予防が、将来の歯並びや全身の健康にもつながります。